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ついに開幕!ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』

Daiwa House Presents ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』が6回のオープニング公演を経て、9月16日(水)TBS赤坂ACTシアターにて本公演初日を迎える。


2017年に東京&大阪で上演され、16万人を動員し大ヒットしたDaiwa House Presents ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』。今年7月に待望の再演が開幕予定だったが、新型コロナウイルスの影響を受け、前半の約70公演が中止になった。万全の感染予防対策を講じ、6月から稽古を再開、開幕にこぎつけた。

6回のオープニング公演を経て、いよいよ9月16日に本公演初日の幕をあける。開幕に先駆けオープニング公演の観劇レポートを届いたばかりの舞台写真と共にお届けする。

「ビリー・エリオット」より 川口調 ©ホリプロ

とにかくオープニングからその熱量にいきなり感動してしまう。長きにわたり人が集まることを許されず、長い自宅待機を余儀なくされている観客にとって、大勢の俳優たちの歌声やダンスを観ること自体が久々の体験であり、一気にライブの感動が蘇る。冒頭、炭坑夫たちの迫力ある歌が終わった瞬間、劇場内には割れんばかりの拍手が鳴り響く。舞台の再開を願い続けた演劇ファンの熱い想いを肌で感じた瞬間であった。

「ビリー・エリオット」より 益岡徹(中央) 星智也(左手)©ホリプロ

この作品の主役ビリーを演じるのは、1511人にオーディションから選ばれた4人の少年たち。とにかく4人とも、素晴らしいという一言に尽きる。初演時、日本でビリー・エリオットを演じられる少年を見つけるのは不可能だと言われたが、蓋を開けて見れば、才能ある5人のビリーが誕生し観客を熱狂させた。今年もまた、初演ビリーとはまた個性の違う魅力溢れる4人のビリーが誕生した。昨年4月から約1年半にわたりバレエ、タップダンス、器械体操、歌、芝居など、あらゆるレッスンを続けてきたその成果が、見事に花開いている。

「ビリー・エリオット」より 左:川口調 右:永野亮比己 ©ホリプロ

兵庫県出身の川口調は、大人顔負けの演技力で堂々とした主役を演じている。バトンのジュニアチャンピオンである彼の身体能力がいたるところに発揮されている。歌の表現力も抜群で、将来が期待される実力の持ち主だ。

「ビリー・エリオット」より 左:阿知波悟美 右:利田太一 ©ホリプロ

東京都出身の利田太一は、持ち前のバレエスキルをいかんなく発揮し、得意のジャンプは、その美しさに観客が息を呑む。真っ直ぐで素直な演技は炭坑町で育ったビリーそのもので、観客は物語にどんどん引き込まれる。

「ビリー・エリオット」より 左:中村海琉 右:河井慈杏 ©ホリプロ

神奈川県出身の中村海琉は、とにかくチャーミングである。一度聞いたら忘れない独特なハスキーボイスの彼の歌は、人を感動させる力を持つ。ダンスの実力も申し分ない。天真爛漫な彼のビリーに、魅了されるだろう。

「ビリー・エリオット」より 中央左:柚希礼音 中央右:渡部出日寿  ©ホリプロ

東京都出身の渡部出日寿は、両親がバレエダンサーというサラブレッド。彼の高速ピルエットは世界でも十分に通用するレベルだ。彼は歌でも観客を魅了する。バレエダンサーを目指すビリーと彼の姿が重なって見える。

「ビリー・エリオット」より 中河内雅貴(前列) ©ホリプロ

物語の舞台は、1980年代のイギリス北部の炭鉱町。サッチャー政権下で進められた炭鉱閉鎖計画に対して大規模ストライキが行われる中、主人公の少年ビリーがバレエに出会い、夢に向かっていく様子を描く。先の見えないストライキが続くなか、ビリーは街にとって唯一の希望となっていく。現在、日本エンタメ業界が再開に悪戦苦闘するなか、苦難を乗り越えて開幕を迎えた本公演が、物語のビリー少年のように、希望の光のように思えたのは私だけではないだろう。

『ビリー・エリオット』に登場する人物は皆が魅力的だ。ビリーの夢を応援するビリーのお父さん(益岡徹&橋本さとし)、炭鉱ストライキのリーダーであるビリーの兄(中河内雅貴&中井智彦)、ビリーの良き理解者であるビリーのおばあちゃん(根岸季衣&阿知波悟美)、そしてビリーの才能を見抜き、彼にバレエを教えるウィルキンソン先生(柚希礼音&安蘭けい)、ビリーがバレエダンサーになった自分を夢見るシーンで登場するオールダービリー(大貫勇輔&永野亮比己)など。炭鉱夫、警察官など、多くの役を演じ分けるアンサンブルも、厳しいオーディションで選ばれた精鋭が揃う日本屈指のレベルだ。

見どころはたくさんあるが、ひとつだけぜひともここで紹介したい場面がある。それは物語がすべて終わった後のフィナーレだ。

「ビリー・エリオット」より 中央:中村海琉 左:河井慈杏 ©ホリプロ

ビリーを中心に、登場人物が順番に舞台に登場し、最後にはキャスト全員による華麗なタップダンスを繰り広げるのだ。男性がバレエのチュチュをつけ「ありのままで何が悪い?個性が世界を救うのさ」と歌うこのシーンに、『ビリー・エリオット』の真髄がある。全キャストによる壮大なタップダンスで舞台を踏み鳴らす音が、長い沈黙を経て、いよいよ舞台を再開できるという、歓喜の声となって心に響く。

ブロードウェイ、ウエストエンドの劇場街がクローズし、劇場再開の目処が立たない中、これほど洗練された大型ミュージカルをいま観られる場所はそう多くはない。
『ビリー・エリオット』を世界で今、観られるのは日本だけ。
未来に向けて生きる希望をもらえる、いまこそ観て欲しいお勧めのミュージカルである。

 

ビリー・エリオット役 コメント

川口調(かわぐち しらべ)
本番を迎えられたことが、本当に嬉しいです。兵庫県からこのオーディションに応募して、東京合宿などで集まったときにレッスンのハードルが高くて、苦しかったこともありました。でも離れている分、周りに気を取られずに自分のレッスンに集中することに繋げられました。観に来てくださったお客様にビリーがどういう気持ちなのかが伝わる演技を目指したいです。

利田太一(としだ たいち)
回数が少なくなってしまったけれど、公演をできることが嬉しいです。最初はダンスのレッスンが体力的にハードだったのですが、レッスンしていくうちに体力がついて、いまはダンスも体力をしっかり残してできるようになりました。ここまで頑張ってきて良かったです。ビリーを楽しくやっていることがお客さんに伝われば良いと思います。

中村海琉(なかむら かいる)
『ビリー~』の初演を観たとき、あんな風にできたら楽しいだろうなと思っていたので、いまビリー役をやれていることが本当に嬉しいです。リモート稽古は稽古場でやるのと全く違って難しいこともあったけど、いまは慣れてできるようになりました。タップダンスが得意なので、お客様にタップで感情を出せるところを見てもらえたらいいなと思います。

渡部出日寿(わたなべ でにす)
回数が減ってしまったけど、公演ができることがとても嬉しいです。バレエはやっていたけれど、タップダンスやジャズダンスは初めてだったので、慣れるまでは大変でしたが、今はどれも楽しんでできています。ビリーの心の移り変わりを、しっかり表現できるように頑張りたいです。

 

公演概要

Daiwa House presents
ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』

[脚本・歌詞]
リー・ホール

[演出]
スティーヴン・ダルドリー

[音楽]
エルトン・ジョン

[オープニング公演]
2020年9月11日(金)~14日(月)TBS赤坂ACTシアター

[東京公演]
9月16日(水)~10月17日(土)TBS赤坂ACTシアター

[大阪公演]
10月30日(金)~11月14日(土)梅田芸術劇場 メインホール

[公演情報]
http://www.billyjapan.com/
https://horipro-stage.jp/stage/billy2020/