俵万智の短歌世界を五感で満喫!角川武蔵野ミュージアムにて「俵万智 展」を開催

公益財団法人 角川文化振興財団は、角川武蔵野ミュージアム 4Fのエディット&アートギャラリーにて、2021年7月21日(水)~11月7日(日)、企画展「俵万智 展 #たったひとつのいいね 『サラダ記念日』から『未来のサイズ』まで」を開催します。それに先立ち、7月20日(火)にマスコミ向け内覧会が行われました。

俵万智 展 #たったひとつの「いいね」 『サラダ記念日』から『未来のサイズ』まで

俵万智 挨拶(抜粋)
今日一足早く、初めて展示を見ました。普段は歌集の中に、この手の中に並んでいる歌たちが飛び出して会場の中で生き生きと伸び伸びと遊んでいるという感じを持ちました。この空間の中で、読者の方と新しい出会いを心待ちにしているような、そんな感じに見えました。それは歌の作者としてはとても嬉しいことで、この空間で新しい出会いをひとつでも多くこの歌たちが経験してくれたら嬉しいなと、わが子が巣立つのを見つめるような、そんな感じもしました。短歌の展示という言葉では言い切れないような、とてもクリエイティブな空間になっていて、そのこと自体の新鮮さというのを、私も展示の中を歩いて感じました。

俵万智 展 #たったひとつの「いいね」 『サラダ記念日』から『未来のサイズ』まで

展示を通して気付いたことが二つありました。
今回、学生時代に家族に宛てて書いていたハガキの中で、短歌に関わる内容が記されているものを展示しています。
「短歌は日々のことを記すので、日記に似ていますね」とよく言われます。日記は自分のために書いて引き出しの中にしまっておくものですが、手紙というのはこの想いを誰かに伝えたくて書くものなので、誰かに想いを届けたいというのが出発点である短歌は手紙と似ているのだと、私はずっと言ってきました。
今回まさに自分が書いていたハガキにより、短歌は手紙だということを改めて思いました。読むと本当に自分の短歌のタネになるようなことがたくさん書いてあって驚きました。ホームシックで、なんでもない会話がなくて寂しいとか、暑いときに暑いねと言っても、暑いねと返してくれる人がいないとか、そういうことを家族に向けて書いているのです。思えばそこから、〈なんでもない会話なんでもない笑顔なんでもないからふるさとが好き〉という歌や、〈「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ〉といった短歌の元となるタネが、この学生時代に書いていたハガキにあると発見できたことは面白い経験でした。

俵万智 展 #たったひとつの「いいね」 『サラダ記念日』から『未来のサイズ』まで

もうひとつは、この展覧会のテーマ「たったひとつのいいね」です。最初の「いいね」が使われている短歌というのが〈「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日〉という歌なのですが、今はSNSで「いいね」が多く使われているのもあって「俵さん、『いいね』の元祖ですね」と言われることがあるのですが、自分の中ではちょっと違うという思いがあります。「あれはたったひとつの『いいね』で幸せになれるという歌なんですよ」と。
今はどちらかというと「いいね」の数を競うような、本当はひとつひとつの「いいね」の中にそれぞれの表情があるはずなのに、という思いがずっとありました。
今回『サラダ記念日』から『未来のサイズ』への展示をすることになり「いいね」というテーマを提案された時に、まさに自分にとっての短歌の背骨になるキーワードを提案して頂いたなと、それも大きな気づきのひとつです。言ってみれば、自分にとっての短歌というのは、日々の暮らしの中で「いいね」と思えることを見つけてきた、短歌があったから見つけて来られた、短歌のおかげで自分は「いいね」という気持ちを重ねて来られた、と。そんなふうにもこの35年を振り返ることができると感じて、本当に素敵なタイトルを提案して頂いたなと嬉しく思っております。

俵万智 展 #たったひとつの「いいね」 『サラダ記念日』から『未来のサイズ』まで

 

■展示の全体像

俵万智さんの35年の歌業から約300首を厳選。ベストセラー『サラダ記念日』のエリアから、その後の歩みをたどる平成の回廊(4歌集『かぜのてのひら』『チョコレート革命』『プーさんの鼻』『オレがマリオ』の短歌と俵さんの年表を見ていただくエリア)、そして最新作『未来のサイズ』のエリアという3つの空間で構成されています。

 

■蛇笏賞(だこつしょう)・迢空賞(ちょうくうしょう)とは

俵万智 展 #たったひとつの「いいね」 『サラダ記念日』から『未来のサイズ』まで
© 角川武蔵野ミュージアム

今回の展覧会は、俵万智さんが最新歌集『未来のサイズ』(2020年刊行)にて第55回迢空賞を受賞されたことが企画のきっかけとなりました(ちなみに『未来のサイズ』は第36回詩歌文学館賞 短歌部門も受賞しています)。
「蛇笏賞」「迢空賞」は、俳人・飯田蛇笏と歌人・釈迢空両氏の遺徳を敬慕して設立され、俳句・短歌界に最高の業績を示した句集・歌集に贈られる賞です。
本展では蛇笏賞(俳句)迢空賞(短歌)歴代の受賞作の句集・歌集が全て並んでいます。句集・歌集は合わせて117冊(117作品)あります(蛇笏賞60冊、迢空賞57冊)。受賞作品については、角川文化振興財団HP( https://www.kadokawa-zaidan.or.jp/kensyou/dakotu/ )にも載っています。

 

■『サラダ記念日』エリア

俵万智 展 #たったひとつの「いいね」 『サラダ記念日』から『未来のサイズ』まで
© 角川武蔵野ミュージアム

俵万智さんは「野球ゲーム」で第31回角川短歌賞次席(1985年)となり、翌年「八月の朝」で第32回角川短歌賞(1986年)を受賞しました。これが歌人としてのスタートと言えます(「野球ゲーム」「八月の朝」の作品は『サラダ記念日』の中に収録されています)。
第1歌集『サラダ記念日』(河出書房新社)は1987年に発売され、現在約280万部のベストセラーとなっています。
学生時代のご家族との手紙(ハガキ)が3mの巨大サイズで展示されています。
『サラダ記念日』は刊行直後より社会現象を巻き起こしました。その当時の様子が分かる資料(記事など)が展示されています。
フランスの最高勲章レジオン・ドヌールを受勲した画家・今井俊満(いまいとしみつ)の絵画の上に俵さんが直筆で『サラダ記念日』に収録されている短歌を描いたコラボレーション作品を特別に今回展示しています(全部で8枚あり、福井県越前市役所に寄託されています。今回はそのうち2枚を展示しています)。

 

■回廊エリア

俵万智 展 #たったひとつの「いいね」 『サラダ記念日』から『未来のサイズ』まで
© 角川武蔵野ミュージアム

平成の30年を代表する100首を展示。『かぜのてのひら』(河出書房新社、1991年)『チョコレート革命』(河出書房新社、1997年)『プーさんの鼻』(文藝春秋、2005年)『オレがマリオ』(文藝春秋、2013年)から、各歌集25首ずつが選抜され、アクリルに透明な文字で短歌が浮かび上がります。床には俵さんの個人史と社会史が展開されています。

 

■『未来のサイズ』エリア

俵万智 展 #たったひとつの「いいね」 『サラダ記念日』から『未来のサイズ』まで
© 角川武蔵野ミュージアム

『未来のサイズ』(角川文化振興財団、2020年)に収録の短歌が、「子育てから未来を」「地方から社会を」「日常から人生を」という3つのまとまりで展開されています。各60首、計180首を展示。
壁に投影されているのは、沖縄県の石垣島の海の風景です。俵さんが石垣島在住時代に住んでいたマンションの屋上から7月初旬に撮影しました。10時~21時までの海の映像で、10時には10時の映像、15時には15時のときに撮影した映像がちょうど流れるようになっています。
天井には300個の「空気の器」(紙で作られ、空気を包みこむようにかたちを自由に変えられるプロダクト)が吊り下げられ、風になびくように宙に短歌が展開します。俵さんが歌集のあとがきなどで繰り返し書いている「短歌は手紙のようなもの」という言葉をイメージしています。

 

■気鋭の建築家とデザイナーがタッグを組み、デザインとグラフィックを担当

会場デザインは、エルメスのディスプレイやイッセイ・ミヤケの展示会構成、ミナへルポネンの店舗内装を手がけてきた「トラフ建築設計事務所( http://torafu.com )」。

また、会場のグラフィックやバナーは、東京国立近代美術館や金沢21世紀美術館の展覧会の他、太田市美術館・図書館のサインなど、言葉と美術をつなぐデザインを手がけてきた平野篤史(「AFFORDANCE( https://affordance.tokyo )」)によるもの。

 

俵万智 展 #たったひとつの「いいね」 『サラダ記念日』から『未来のサイズ』まで

[会期]
2021年7月21日(水)~2021年11月7日(日)

[会場]
角川武蔵野ミュージアム 4F エディット&アートギャラリー
埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3 ところざわサクラタウン内
https://kadcul.com/

[チケット](KCMスタンダードチケット)
オンライン購入価格(税込)
大人(大学生以上):1,200円
中高生:1,000円
小学生:800円
未就学児:無料

当日窓口購入価格(税込)
大人(大学生以上):1,400円
中高生:1,200円
小学生:1,000円
未就学児:無料

[主催]
角川武蔵野ミュージアム(公益財団法人角川文化振興財団)

[URL]
特設ページ:https://kadcul.com/event/42

Tokyo Now Author