渋谷の現代アートギャラリーNANZUKAのキュレーションによるグループ展『GLOBAL POP UNDERGROUND』7月4日(土)より開催!
株式会社パルコは、2020年7月4日(土)から2020年7月26日(日)までの期間、渋谷の現代アートギャラリーNANZUKAのキュレーションによるグループ展『GLOBAL POP UNDERGROUND』を渋谷PARCO 4F「PARCO MUSEUM TOKYO」にて開催します。
本展は、昨年NYとLAにあるJeffery Deitch ギャラリーを巡回したTokyo Pop Underground のコンセプトを踏襲し、空山基、Javier Callejといった同ギャラリーのグローバルなアーティストセレクション総勢21名を、Undergroundを切り口に再構成したグループ展となります。
また、本展は会場の様子を3Dビューで鑑賞できるオンライン展示を併催します。会場内を移動、また360度見渡す等、自宅にいながらあたかも実際に展示会場に居るような鑑賞体験も併せてお楽しみいただけます。
ごあいさつ
Tokyo Pop Undergroundにおいて、Nanzukaは日本固有の歴史的な背景を引用しながら、「芸術のための芸術」という枠の外にいる日本人アーティストの文脈を紐解きました。元来、明治時代までの日本では、およそ芸術の類と人々に考えられていたものは、そのほとんどは実用品であり、それが故に大衆文化と融合しながら共に発展しました。書や屏風、襖絵、茶道具やネゴロなどの工芸品、キーホルダーとしての根付け、ポスターやブロマイドとしての浮世絵、そして見世物=興行のために作られた生人形(いきにんぎょう)と呼ばれるリアルな細工物まで枚挙に暇がありません。そして、これらの”創作物”は、大衆的であるが故に元来”ポップ”であり、アカデミックなアートから見て、”アンダーグラウンド”なものと呼ばれるものです。
本展、Global Pop Undergroundは、上記の文脈を踏襲し、アートのアカデミズムにおける上位と下位という固定観念へのアンチテーゼとして、グローバル規模で同時多発的に起こっている異端(アウトサイダー)の文脈の爆発を、相互作用的に混在させたに企画展です。本展には、性や暴力を纏った表現も多数含まれます。これは、反権威、脱単一的管理、反画一的正義といったステートメントを暗に秘めるために、アーティストたちが意図的に込めたものです。例えば、田名網敬一が自身の戦争体験をソースに描き上げている曼荼羅的絵画作品、山口はるみが70年代に女性の性革命運動と共に描き起こしたセクシャルで攻撃的な女性の肖像画、佐伯俊男が70年代に性的タブーを描いたドローイング作品、人間の生存本能的欲望をロボットをフィルターに描き続けている空山基など、日本の前衛芸術の黎明期に創作され、その激しさが故に”ファインアート的”に脚光を浴びてこなかったアーティストたちです。こうした経歴を持つアーティストの存在は、日本人だけに留まりません。今年86歳を迎えるアメリカ人アーティスト、Peter Saul(ピーター・ソール)は、1950年後半には誰よりも先駆けて漫画のキャラクターを引用した POP ART的手法の作品を制作していたにも関わらず、その強烈な風刺的スタイルが故に、長らくアートにおける権威から遠ざけられ、正当な評価を受けてきませんでした。あるいは、アメリカ生まれのキャラクターをドリップを滴ためた独特の画風で描き続け、惜しくも昨年他界したアメリカ人女性アーティスト、Joyce Pensato(ジョイス・ペンサート)も、主流な主義や潮流といったアート界における成功の波に乗らなかったため、その晩年まで脚光を浴びることはありませんでした。
本展は、道を切り開いてきた伝説的アーティストに加えて、より若い世代のアーティストも含みます。日本の漫画の影響を受けながらシュールレアリズム的方法論で巨大な目のポートレートを描くスペイン人アーティストJavier Calleja、独学で習得した技巧を武器にUSEDのスケートボードを素材に木工作品を作るHaroshi、グラフィックデザイン出身の佃弘樹、グラフィティ出身の日本人アーティスト森雅人、現代社会を管理する既得権益への仮想敵としてのPUNKsをテーマにコンセプチュルな作品を数多く生み出しているイギリス人アーティストOliver Payne、90年代のNYグラフィティーシーンを代表するアーティストTodd James(Reas)など、イラストレーション、デザイン、漫画、ストリートアート、アンダーグラウンドカルチャーと様々なバックグラウンドを持つアーティストたちの作品を平行して展示する事で、現在進行形のアートの多様性を体系的に説明するものです。現代における文化言語としてのUndergroundは、もはやSex、Punk、Cyber、Science Fiction、Psychedelic、Street、Manga/Otakuといった、High(高尚)に対するLow(低俗)と看做されるあらゆるカウンター領域を巻き込んで、グローバルな規模で見直されつつあるという予兆があります。そして、このムーブメントは、排他主義的な傾向を強める現在の先進国の社会状況へのカウンターとして現れた現象とも受け止めることができるのです。
NANZUKA
南塚 真史
NANZUKAについて
2005年、ポップカルチャーと現代美術の接続を目指し、実験的な企画ギャラリーとしてNANZUKA UNDERGROUNDの名で東京渋谷に設立。以後、デザイン、イラスト、ストリート、漫画、ファッション、ミュージックなど、周辺分野における創造性をアカデミックに扱うギャラリーとして活動。これまで、田名網敬一、空山基、山口はるみ、佐伯俊男といった、長年日本のアートシーンの外で評価されてきた才能を再評価し、国際的な現代アートの舞台での紹介に努めている。2019年に、アメリカの著名ギャラリスト、Jeffery Deitchと組んで行った「Tokyo Pop Underground」展は、新たな枠組みで日本のアートの深淵を紐解いた展覧会として、国際的に大きな話題となった。同時に国内外の若手、中堅アーティストの育成、サポートにも力を注ぎ、海外の有力アーティストの展覧会を日本で開催するなど、グローバルなアートシーンの現在を体現している。
参加アーティスト
Christian Rex van Minnen |クリスチャン・レックス・ヴァン・ミネン
1980年アメリカ、プロビデンス生まれ。現在、サンタクルーズを拠点に活動。ニューエイジ的神秘主義、インターネット・ミーム、SNSといった要素を取り込み、古典的技法を駆使した深淵な世界を絵画に表現している。
Erik Parker | エリック・パーカー
1968年ドイツ、シュトゥットガルト生まれ。現在、ニューヨークを拠点に活動。政治、社会、経済を、メディアやポップ・カルチャー、音楽、歴史などに満ち溢れた独特の構図で図式化し、”MAPS”、”HEADS”、”Hieroglyphics”、”STILL LIFES”と名付けられたスタイルの絵画シリーズを発表している。
Hajime Sorayama | 空山基
1947年愛媛県生まれ。1970年代初め頃より、驚異的な写実力を武器に、ピンナップのイラストレーターとしてキャリアを築く。その名を世に知らしめた作品「セクシーロボット」シリーズ(1978年-)は、女性の人体美をロボットに取り込んだ表現で、その後のロボットのイメージ形成に大きな影響を与えた。
Haroshi | ハロシ
1978東京都生まれ。東京在住。2003年よりスケートボードデッキの廃材を使った彫刻作品、インスタレーションを制作。一般的なリサイクルと一線を画す、救済とも呼べるその作品は、現代のストリートカルチャーの深層を体現するものとして、絶大な支持を集めている。
Harumi Yamaguchi | 山口はるみ
島根県生まれ。東京芸術大学油画科卒業。フリーランスのイラストレーターとしてPARCOの広告制作に参加。1972年よりエアブラシを用いて、新しい時代を生きる瑞々しく堂々とした女性像を描き、日本社会における女性の在り方について、視覚言語を通して大きな影響を与えた。
Hiroki Tsukuda | 佃弘樹
1978年香川県生まれ。現在、東京を拠点に活動。自ら「もうひとつの世界」と呼ぶ世界の存在を信じることから、イメージを再構築する手法をとる。近年、その作品がニューヨーク近代美術館に収蔵されるなど、その国際的な評価を急速に高めている。
James Jarvis | ジェームス・ジャービス
1970年イギリス、ロンドン生まれ。2000年にParco Museumで個展を行うなど、その作風は日本国内でも広く知られている。ミニマルなキャラクターを主人公とした漫画的イラストレーションは、コミカルに、そしてアイロニカルに、わたしたちの姿を映し出す。
Javier Calleja | ハビア・カジェハ
1971年スペイン、マラガ生まれ。日本の漫画的な表現の影響を受けながら欧州のシュールレアリズム的方法論で巨大な目のポートレートを描く。その作品が持つ視覚的な情報と作品中のキャラクターが持つ文脈との間には、常に隠れた罠が仕掛けられている。
Jonathan Chapline | ジョナサン・チャプリン
1987年アメリカ、サバンナ生まれ。絵画制作に必要なあらゆる物理的な要素を、予め3Dプログラムを駆使したコンピューターの画面上でシミュレートし、古典的な表現を再解釈した作品を多数描く。デジタル世代を自負するアーティスト。
Joyce Pensato | ジョイス・ペンサート
1941年アメリカ、ニューヨーク生まれ。2019年6月13日没。アメリカのアニメーションに登場する様々なキャラクターを大スケールで描くことで知られる。大胆な筆さばきによって変身を遂げたキャラクター達は、大衆文化に対する認識について議論を投げかけている。
Katherine Bernhardt|キャサリン・バーンハート
1975年アメリカ、セントルイス生まれ。大きなキャンバスに鮮やかな色彩を用いて、日常生活の中で頻繁に目にするモチーフを大胆に描く。溢れかえる様々なイメージとのパーソナルな関係性、親和性を示唆している。
Kazuki Umezawa | 梅沢和木
1985年埼玉県生まれ。現在、東京を拠点に活動。2008年頃から、インターネット上で収集したアノニマスな画像などを大量に用いた巨大なデジタルコラージュの作品を制作。「インターネットの風景」を描き出す作風で注目を集めている。
Keiichi Tanaami | 田名網敬一
1936年東京都生まれ。1960年代より、メディアやジャンルの境界を積極的に横断して創作活動を続けている。近年、記憶や夢を原風景に、自身の80年以上の歴史を記した”曼荼羅図”の制作に取り組む。NY近代美術館やベルリン国立美術館など世界中の名だたる美術館が作品を収蔵している。
Koichi Sato | 佐藤貢一
1974年東京生まれ。現在、ニューヨークを拠点に活動。テレビやスポーツ誌に溢れる膨大なイメージの影響下に育つ傍、独学で絵画の技法を習得。有名無名を問わず様々な人物を独特なパターンと色使いでユーモラスに再形成した絵画を制作している。
Makoto Taniguchi |谷口真人
1982年東京都生まれ。類似したイメージを繰り返し描き続け、描かれたキャラクターに特定の感読を持たせないことで、インターネットや人工知能などの新たなテクノロジーの普及と発展を前に、私たち人間の在り方を探し続けている。
Masato Mori|森雅人
1976年徳島県生まれ。アウトサイダーアートを想起させる奇妙に現代的でコミカルな作品を制作。漫画やTVゲーム、アニメーションなどを自身の美学的観点のルーツとする。近年は芸術における純真性、無心性といったテーマに関心を寄せている。
Oliver Payne | オリバー・ペイン
1977年イギリス、ロンドン生まれ。現在、ロサンゼルスを拠点に活動。1990年代からアーティストデュオとして作品を発表、ヴェネチア・ビエンナーレにて金獅子賞を受賞するなど輝かしい経歴を持つ。2009年からソロアーティストとして活動、サブカルチャーを土台にした作品を制作している。
Peter Saul | ピーター・ソール
1934年アメリカ、サンフランシスコ生まれ。半世紀以上に渡り、歴史的な名画のサンプリングや政治家の肖像、美術史にまつわる逸話などを題材とした作品を制作。美術業界の権威からは距離を取り続けてきたが、近年、その重要性が再認識されるに至り、2010年にはアメリカ芸術アカデミーに選出された。
Todd James | トッド・ジェームス
1969年アメリカ、ニューヨーク生まれ。リアス(REAS)のタグネームで知られるNYのストリートアートを代表する1人。子供の絵を思わせるイノセントな線と形態、キャラクター化されカラフルに色塗りされた様々な登場人物たちが特徴。
Toshio Saeki | 佐伯俊男
1945 年宮崎県生まれ。2019年11月21日没。エロス、ユーモア、ホラーを織り交ぜた独特の作品で国際的に知られる。その世界観は、あらゆる性的タブーを露にすることで、私たちの内面をえぐる刺激的な仕掛けに満ちあふれている。
YOSHIROTTEN | ヨシロットン
1983 年鹿児島県生まれ。現在、東京を拠点に活動。グラフィック、映像、立体、インスタレーション、音楽など、ジャンルを超えた様々な表現方法で作品を制作。またアートディレクター、デザイナーとしても国際的に活動している。
自宅で楽しめる3Dビューのオンライン展示を併催!
本展示は、リアルの会場「PARCO MUSEUM TOKYO」での展示開催に並行して、会場の様子を3DビューでPARCO ARTのWEB SITEから無料鑑賞できるオンライン展示を併催します。会場内を移動、また360度見渡す等、自宅にいながらあたかも実際に展示会場に居るような鑑賞体験を楽しむことができます。
開催概要
GLOBAL POP UNDERGROUND
[会場]
PARCO MUSEUM TOKYO(渋谷PARCO 4F)
東京都渋谷区宇田川町15-1
TEL:03-6455-2697
[期間]
2020年7月4日(土)~7月26日(日) 10:00-21:00
※入場は閉場の30分前まで
※最終日18時閉場
※新型コロナウイルスをはじめとした感染症拡散予防の観点から、営業時間を変更したり会場にご入場いただける人数を制限させていただく場合がございます。
[入場料]
一般:500円
学生:400円
※一般または学生1名につき、小学生以下2名まで入場無料
※時間指定入場制になります。前売券は電子チケット販売サイト「LivePocket」にて6月25日(木)11:00より販売開始。
[展覧会公式サイト]
https://art.parco.jp/
[主催]
PARCO
[キュレーション]
NANZUKA
[グラフィックデザイン]
YAR