地域
フジフイルム スクエア 写真歴史博物館 企画写真展 潮田登久子写真展「マイハズバンド」
4月1日 @ 10:00 - 6月30日 @ 19:00
40年もの間、撮った本人さえ忘れていた夫と幼い娘の日常を写したネガやプリント。たまたま、引っ越しの整理中に発掘されたこれらの写真は、長い熟成の時を経て2022年に写真集『マイハズバンド』(torch press刊)として刊行され、写真家・潮田登久子の名を国外にも広く知らしめ、再評価の契機になりました。本展では、同シリーズから約30点を展示します。
潮田登久子は、1960年に入学した桑沢デザイン研究所で写真と出会いました。石元泰博、大辻清司に師事し、1975年ごろからフリーランスの写真家として活動を開始、1978年に写真家の島尾伸三と結婚、長女・まほが生まれて間もない1979年初頭から、憲政の神様と呼ばれた尾崎行雄の旧宅を移築した豪徳寺の洋館で一家の生活が始まります。1888年に建てたといわれる古い洋館の2階中程にあった15畳程度の一室が家族の住居。風呂はなく、1階の台所は共有という環境のなかで日々の生活に追われながらも、潮田はカメラの向こうにある日常を淡々とフィルムに収めていきました。
夫や娘はもちろん、生活をともにしていた食器やカーテンなど身の回りの事物、家族が見たであろう風景。「マイハズバンド」は、おとぎ話のようなどこか非現実的な空気感をまとっているにもかかわらず、見る者に一度はここを訪れたことがあるような不思議な既視感を想起させてくれる作品でもあります。発表する意図なく撮られ、長い間、記憶の奥にしまわれていたこれらの作品は、記録メディアでありながら、撮影者の無意識な感情を率直に反映する、写真が内包する本質が幸運な出会いを昇華した形で私たちに提示してくれます。
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