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平田晃久 ―人間の波打ちぎわ
2024年7月28日 @ 10:00 - 2024年9月23日 @ 18:00

練馬区立美術館では、建築家・平田晃久の建築世界を紹介する展覧会を7月28日(日)より開催します。
平田はこれまで、自身の建築に対する思想を説明する際に「からまりしろ」という言葉を使ってきました。「からまりしろ」とは平田自身によって作られた言葉です。この「からまりしろ」については、彼の言葉を借りつつ次のように説明することができます。
「はっきりと形作られる空間領域とは異なり、「ふわふわとした隙間の錯綜」、つまりはあらゆる物質の傍らとも言える領域の重なりを指します。それは人間世界に限ったことではなく、植物、動物、異なる時空の文化なども含んだ広義での生命体との共有可能性を探る試みでもあり、人間が狭い意味での「人間」から自由になる未来に向けた試みでもあります。」
ここで、「からまりしろ」の具体的なイメージについて考えてみましょう。平田の意識が向いているのは、人間の世界だけではありません。自然界から連想できる情景は、樹木の枝にとまる小鳥の群れやアルプスに雲がかかる様子、海藻に魚の卵が無数にくっついている状態や絡み合う植物などの一場面です。これらには、偶然によって生み出された無数の表面積、思いもよらない空間が作られています。このような自然の情景が、平田の建築的思想の手助けとなっているのです。
かっちりと人間によって作り上げられた建築空間ではなく、自然の偶然性に建築的空間を見出すという考え方は、平田建築の大切な要素のひとつと言えます。本展覧会では「波打ちぎわ」という新しい言葉を軸にした3章立てとなっています。1章目は「からまりしろ」であり、冒頭でも説明した通り、これはこれまでの平田建築の核をなす言葉です。「からまりしろ」の建築は、人間と動物の波打ちぎわ(境界やあいだ)に現れるものといえます。2つ目と3つ目は、「響き」がテーマになっています。 これは共鳴というような感覚に近いかもしれません。無数の人々の思いの共鳴、はたまた過ぎ去った時間と現在との共鳴、あるいは今こことどこか遠くの場所との共鳴…。そういった「響き」をもった建築は、私たちがかつて知っていた「人間」の意識を広げていくような、からまりしろとも違う「人間の波打ちぎわ」を予感させます。
本展では、スケッチ、模型やインスタレーションを中心に、この「波打ちぎわ」を体験的に理解できる空間を作り上げます。哲学する建築家、平田晃久の脳内イメージにアプローチする展覧会です。
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