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小室哲哉「これまでの河瀨作品の中で一番力が入っている」、河瀨直美監督の「決意や執念」に感服

©2020『朝が来る』Film Partners

河瀨監督と親交の深い写真家のレスリー・キー氏が、自身のライフワークでもある「母と子」というテーマのもと、特別養子縁組で家族になった母子の写真撮影を行った写真展「母と子の写真展 by LESLIE KEE」が、9月12日(土)よりSHIBUYA QWSにて開催しています。

その写真展のオープニングイベントとして、レスリー・キー氏と河瀨監督、そしてスペシャルゲストとして、音楽だけでなくカルチャーにも精通している、レスリー氏と親交の深い小室哲哉氏をお迎えし、映画『朝が来る』や特別養子縁組にまつわるトークショーを行いました。

はじめに、河瀨監督から「去年の春先に映画を撮影し、俳優陣も実際にリアルな体験をした。これからたくさんの方々に知っていただき、観ていただけると思うと感無量です」とコメント。そして、河瀨監督の呼び込みで小室哲哉が入場。小室は「2018年1月に引退宣言をした。そんな中、今日は音楽家として呼んでいただけて、おこがましいと思いつつも、本当に嬉しい」と一言。河瀨は「初めてお会いした時に、なんて優しい目をしているんだと感じた。そして、この人は音楽がないと生きていけない人だと思った」と小室の印象を語った。

『朝が来る』を2回続けて鑑賞したという小室は、「この作品ほど、エンドロールの最後の最後まで見ておくべき映画はないなと思いました」と映画のある“仕掛け”に触れ、続けて「本作は独特の視線がある。(河瀨監督の)これまでの作品とは違って、何本ものストーリーが同時進行していて、ひとつひとつのストーリーに個性がにじみ出ていた」と感想を述べた。一つの社会問題をテーマにしながらエンターテインメント性もあると話した小室に対し、河瀨から「『あん』よりもある?」と質問されると、「僕は『あん』よりもあると思う」と断言。河瀨の「映画は“タイムライン”がないと感動に繋がらない」という言葉に、小室は「音楽で言うと、イントロ〜サビにいたるような過程かもしれない。そういった伏線の張り方が、今までの作品の中で一番力が入っているように感じた。絶対に結末までもっていくんだという、決意や執念みたいなものが感じられました」と称賛。

今回の写真展について、「(作品テーマにちなんで)特別養子縁組で親子になった方々をレスリーが撮影した写真を展示している」と河瀨が趣旨を説明すると、レスリーは「河瀨さんと同じく、私も小さい時から親が隣にいなかった。河瀨さんがこの作品を撮っているのを知り、一人でも多くの方に届いたらいいなと思い、私ができることとして、特別養子縁組で家族になった方々を撮影し、写真展開催に至った」と、経緯を明かした。写真を見た河瀨は、「(特別養子縁組で結ばれた親子は、血は繋がっていないけれど)本当に似てくる。レスリーはその瞬間をとらえた」と撮影会の様子を振り返った。

また、レスリーは本作の見どころについて、「コロナ禍で色んなことを考え、特に絆の大切さを考えた。この映画は絆の大切さを教えてくれた。こんな時代だからこそ、たくさんの人たちに観てほしい」と語った。続けて、小室は「育児放棄などが問題になっている中、真反対の<愛情を描いた映画>」と本作を評する。それに対して河瀬は「優しくされたら、優しくしたくなる。そんな感情を教えてくれる映画になっていると思います」と語った。

最後に、河瀬は「当初は6月に公開する予定だったがコロナ禍で延期になった。コロナになる前と後では、(本作を観た時の)感じ方が大きく違うと思う。私たちの中になにかしらの傷ができた時に、どう進んでいけばいいのか?それを、この映画を通して、少しでも感じていただけたら嬉しいです」と本作に込めた思いを語り、トークイベントは幕を閉じた。

「母と子の写真展 by LESLIE KEE」は、SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)共有スペースにて、9月18日(金)まで展示予定。

 

『朝が来る』

2020年10月23日(金)全国公開

[監督・脚本・撮影]
河瀨直美

[原作]
辻村深月『朝が来る』(文春文庫)

[共同脚本]
髙橋泉

[出演]
永作博美 井浦新 蒔田彩珠 浅田美代子
佐藤令旺 田中偉登/中島ひろ子 平原テツ 駒井蓮
山下リオ 森田想/堀内正美 山本浩司 三浦誠己 池津祥子 若葉竜也 青木崇高/利重剛

[音楽]
小瀬村晶、An Tôn Thât

[主題歌]
C&K「アサトヒカリ」

[製作]
キノフィルムズ・組画

[配給]
キノフィルムズ

[URL]
HP:http://asagakuru-movie.jp/
Twitter:asagakuru_movie
Instagram:asagakuru.movie

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