
Women in Abstraction
6月7日 @ 11:00 - 7月5日 @ 19:00

GALLERY HAYASHI + ART BRIDGEは、2025年6月7日(土)から7月5日(土)までグループ展「Women in Abstraction」を開催します。本展は、抽象絵画を制作する女性アーティストに焦点を当てたもので、第一回目となる今回は、新井碧、今実佐子、三瓶玲奈の三名の作品を発表します。
幼いころから身体的な弱さを抱えていた新井碧は、常に自身の身体の有限性と向き合いながら生きてきました。「今、この瞬間を生きること」に焦点を当て、無意識的動作を強調したブラッシュストロークを主に扱う新井の創作は、彼女の生きた痕跡を世界に記述し残す行為とも言えます。1970年代以降のモダニズムにおいて、白人男性が標準的な存在として想定されてきたの中で、日本人で、かつ女性であり、必ずしも力強いとは言えない体躯を持つ彼女があえて彼らと同じ画材を扱い、抽象的な表現に取り組む姿勢は、西洋・男性中心的な美術史の構造を問い直す契機となるでしょう。
今実佐子の作品は、口紅やファンデーション、アイシャドウなどの化粧品を用いて紙の上に描かれています。鮮やかなピンク色が特徴的な彼女の作品は、化粧品本来の役割を超え、抽象表現の新たな可能性を広げています。化粧品を日々画面に塗り重ねることで、彼女自身の内省的な部分が表出し、自らの精神世界や日々の軌跡が画面に投影されます。自身の身体を飾る化粧品を用いながらも、表面的な装飾ではなく、作家自身の時間と存在が深く刻まれた作品はまるで自画像のように浮かび上がってきます。また、毎日化粧品を塗り重ね、完成したその日を作品タイトルとしているそのミニマルでありコンセプチュアルな手法は、河原温のDate Paintingを彷彿とさせます。
三瓶玲奈の作品は、風景や自然物、そして光の変化をモチーフに制作されています。完成した作品はその風景や自然物を抽象化した姿のように見えますが、その制作過程には長年にわたる研究と観察が含まれています。作品がもつ抽象的なビジュアルとは対照的に、制作過程における考察や感覚は極めて具体的です。そのアプローチは、ジョージア・オキーフが自然の中で見出した対象を繰り返し描き続け、モニュメンタルな表現へと昇華させた手法にも通じているでしょう。本展示では、”線の像を結ぶ”や”The Face”の作品シリーズを発表します。これらの作品は、三次元的な要素や光の表現を画面上に落とし込むことをテーマとしており、彼女の作品群の中でも特に抽象性を含んだものとなっています。
2025年6月7日(土)~7月5日(土) 11:00~19:00
※最終日17:00まで
※休廊日:日曜・祝日
オープニングレセプション
6月7日(土) 18:00~20:00
Gallery Hayashi
東京都中央区銀座7-7-16
https://g-hayashi-artbridge.com/
新井碧、今実佐子、三瓶玲奈
Yutaka Kikutake Gallery