河合優実・入江悠監督 登壇!kino cinéma 心斎橋オープニング作品として『あんのこと』特別上映中
映画館“kino cinéma 心斎橋(キノシネマしんさいばし)”が、大阪・心斎橋の複合ビル「ビッグステップ」内に2024年12月13日(金)から新たにオープン。現在、オープニング記念上映中の映画『あんのこと』の舞台挨拶が12月15日(日)に開催され、主演・河合優実と入江悠監督が登壇しました。
入江悠監督が、主演に河合優実、共演に佐藤二朗、稲垣吾郎を迎え、「少女の壮絶な人生を綴った新聞記事」を基に描いた、2024年6月7日(金)に公開された衝撃の人間ドラマ『あんのこと』。国内外から高い評価を受け、公開から半年以上経っても各地で上映が続く『あんのこと』が、kino cinéma 心斎橋オープニング作品として特別上映中です。
盛大な拍手に迎えられて登場した2人。今日のチケットが3分で完売したことを聞かされると河合は「チケットを3分でゲットしていただいてありがとうございます。公開からだいぶ時間が経って、また皆さんの前で『あんのこと』の話ができる機会をいただけてすごく嬉しいです」と挨拶。
入江監督も「新しい映画館の空気感がいいですね。オープニング作品に『あんのこと』を選んでいただいてありがとうございます」と感謝の思いを語り、「6月に公開された作品が年末まで上映が続いて、色んなところでお客さんにお会いできるので、今年は『あんのこと』と一緒に走った1年だった」と振り返っていました。
パリで開催された【KINOTAYO(キノタヨ)映画祭】観客投票によって決まる最高賞のソレイユ・ドール賞を受賞したことがMCから明かされると、場内からは大きな拍手が。入江監督は「こういう題材なので、個人的には浮かれないようにしてますが、スタッフや俳優が評価されるのは嬉しい。杏という子のことを皆で一生懸命考えて丁寧に紡いだ映画なので、それを評価していただけたのは嬉しいです」と感想を話していました。
受賞を受けて河合は「海外でもたくさんの方に観ていただけて、その土地の方に届いているのが嬉しいです。そこに行かないと温度感はわからないので行きたかったです」と思いを語っていました。
劇場での舞台挨拶や海外の映画祭での反応について入江監督は、「自分の体験に引き寄せて感想を言ってくださる方が多い」と明かし、「自分の人生と重ねて観るというのは、命がけで観てくださってるんだと感じる。お客さんとお話するたびに鍛えられている気がします」と観客の感想や観客との対話が力になっていると語りました。
Yahoo!検索大賞俳優部門1位を受賞するなど、大躍進の1年となった河合。『あんのこと』はどのような存在なのか聞かれると、「撮影は2022年の終わりだったのでちょうど2年ぐらい経ちますが、今年の色々な動きとは全く別で、私にとって特別な経験になったし、数あるお仕事と同列には語れないような作り方だった」と振り返りました。
さらに、「検索大賞で1位を獲ったということは知らない人が検索してくれてるということ。私を知ってくれた人が『あんのこと』を観てくれたかもしれないし、それぞれの作品が影響し合って、次に公開されるものに良い風が吹くこともあったと思うので、今年、『あんのこと』が公開されて1人でも多くの人に観ていただけたのは、ものすごく良かったと思う」と作品への思いを語りました。
一方、撮影中の河合をどのように見ていたのか問われた入江監督は「ほとんど演出していない」ことを明かし、「杏の考えていたことは僕もわからないので、河合さんにお任せした部分もあった。そういう意味では、毎日発見があった」と振り返り、「脚本はありましたが、その時に杏がどういう心境になるのかは河合さんを通して僕たちも見せてもらっていた」と河合を称賛していました。
そして、2日前にオープンしたばかりの本劇場について入江監督は「前のシネマート心斎橋は韓国映画を推してて。そういう個性がミニシアターのいいところだと思う」と思いを語り、「この映画館も観客の方が育てていくと思うので、次に来た時に変な色がついていたらいいな」と笑わせました。
河合は「時間があればできるだけ映画館で観たいと思ってる」ことを明かし、「新しい映画館で、こんな風にスクリーンを見上げられる椅子で映画を観られて羨ましい」と本劇場について語り、「ある日映画を観に行ったら、当時私がやっていたSNSのアカウントに「今日、映画館にいた人ですよね」とDMが来たんです。そこで「僕の映画に出てください」と言われて、初めて映画に出ることができたので、映画館は始まりの場所です」と映画館の思い出を語っていました。
また、河合が初めて映画館に行ったのが『ラストサムライ』だったそうで、「2000年生まれなので2歳で、親から聞いた話だと、泣いちゃって途中で出たらしいですが、抱っこされながら観た記憶がなんとなく残ってる」と振り返ると、入江監督は「僕の育った町には映画館がなくて、映画好きのおじさんがスクリーンと映写機を持ってきて上映してくれた。その人が地元にミニシアターを作ったんですが、夢は叶うんだなと思った」と思い出を明かしていました。
年末も近づく中、来年の抱負を問われると河合は「具体的には何も決めてませんが、余計なものを振り払ってシンプルに過ごしたい。余計な心配や感じなくていいストレスを手放して大胆に軽やかに」と抱負を語りました。
最後に、入江監督が「この映画とともに日本全国を周ってきて、色んな方が杏や登場人物のことを考えてくださった。映画監督として節目の作品になった。僕も年末年始は映画館に通って元気をもらいたいと思いますので、関西の映画館で僕を見かけたら優しく声をかけてください」挨拶。
河合は「『あんのこと』の公開当日はすごくドキドキしました。監督がよく、映画が公開すると自分の手元から離れていくとおっしゃいますが、初めてそういう感覚を得ました。嬉しい感想や色んな反響が届いて、映画を作って人に観てもらうってこういうことなんだと実感した作品です。そこから時間が経って、皆さんの前でお話できて嬉しいですし、映画館でまた公開されるので、初めてこの映画に出会う方がたくさんいてくださると嬉しいです」と挨拶すると、大きな拍手で見送られ、舞台挨拶は終了しました。
21歳の主人公・杏は、幼い頃から母親に暴力を振るわれ、10代半ばから売春を強いられて、過酷な人生を送ってきた。ある日、覚醒剤使用容疑で取り調べを受けた彼女は、多々羅という変わった刑事と出会う。大人を信用したことのない杏だが、なんの見返りも求めず就職を支援し、ありのままを受け入れてくれる多々羅に、次第に心を開いていく。週刊誌記者の桐野は、「多々羅が薬物更生者の自助グループを私物化し、参加者の女性に関係を強いている」というリークを得て、慎重に取材を進めていた。ちょうどその頃、新型コロナウイルスが出現。杏がやっと手にした居場所や人とのつながりは、あっという間に失われてしまう。行く手を閉ざされ、孤立して苦しむ杏。そんなある朝、身を寄せていたシェルターの隣人から思いがけない頼みごとをされる──。
作品情報
『あんのこと』
2024年6月7日(金)新宿武蔵野館、丸の内TOEI、池袋シネマ・ロサほか全国公開
河合優実 佐藤二朗 稲垣吾郎
河井青葉 広岡由里子 早見あかり
入江悠
木下グループ 鈍牛倶楽部
コギトワークス
キノフィルムズ
PG12
公式サイト:https://annokoto.jp/
公式X:@annokoto_movie
© 2023『あんのこと』製作委員会