リポート授賞式

フレッシュな才能が光る!「第15回TAMA映画賞授賞式」多彩な俳優・監督が集結

2023年11月11日(土)~11月26日(日)に東京都多摩市の4ホールで開催中の「第33回映画祭TAMA CINEMA FORUM」において、「第15回TAMA映画賞授賞式」が、11月25日(土) パルテノン多摩 大ホールにて開催されました。

第15回TAMA映画祭授賞式 ©Tokyo Now
(上段左から)坂元、蒼井、岩田、松藤、白石、田代、黒川、柊木
(中段左から)髙橋 理事長、竹内昇 委員長、福永壮志、野中晋輔、藤谷理子、上田誠、永野宗典、金子由里奈、阿部裕行市長、古谷
(下段左から)足立紳監督、奥平大兼、山田杏奈、鈴木亮平、菊地凛子、佐藤浩市、黒木華、目黒蓮、髙石あかり、是枝裕和監督

TAMA映画賞は、明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる<いきのいい>作品・監督・俳優を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰します。はじめに、TAMA映画フォーラム実行委員会 委員長の竹内昇による開会宣言、続けて同委員会 名誉会長の多摩市長 阿部裕行の挨拶により授賞式が幕を開けました。

第15回TAMA映画祭授賞式 ©Tokyo Now

 

【最優秀新進女優賞】
髙石あかり(『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』『Single8』『セフレの品格 決意』『わたしの幸せな結婚』ほか)

髙石あかり ©Tokyo Now

髙石あかりは、目で訴えかける静のたたずまいから、熱情を体現する躍動感まで、変現自在に役に入り込み限りない可能性を見せる演技が評価されました。

髙石:この度は、このような素敵な賞をいただき、本当に光栄に思っております。ありがとうございます。このような素敵な賞をいただけたのも、関わってくださった全ての皆様、作品、役、そして、『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』の阪元裕吾監督、伊澤彩織さん、そして、スタッフの皆様のおかげですので、本当に心から感謝しております。
小さい頃から女優になることが夢で、ここに立てていることがすごく嬉しくて、もう芝居が大好きなんですけど、より好きにさせてくれた『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』という作品で、このような素敵な賞をいただけたのが本当に光栄に思っております。

司会:今回、対象作品が7作品ということで、多くの作品にご出演されました。この1年、振り返っていかがでしたでしょうか?
髙石:もう本当に多くの作品と人と関わらせていただいて、やっぱり、お芝居をする時間が多いってことじゃないですか。だから、本当に楽しくてあっという間な1年だったなと思います。

司会:プレッシャーはございませんでしたか?
髙石:プレッシャーも、ポジティブに楽しい方向に変えられる人間な気がするので、楽しい1年だったなという記憶が多いです。

司会:『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』では、ガン・アクションだけでなく、着ぐるみを着たアクションなど新たな試みもされていましたが、こちらも楽しんでたんでしょうか?
髙石:楽しかったですね。ただ、夏だったので、ものすごく暑かった記憶があって・・・でも、園村健介アクション監督が、泥臭いアクションもコミカルなアクションも『2』ではさせてもらえたので、すごく楽しくアクションできたなと思います。

司会:映画祭パーフレットのQ&Aの中で、今後、取り組みたい役柄として、”不器用な、人間見溢れたキャラクターを演じてみたい”というふうにおっしゃっていますが、何かイメージするものはあるんでしょうか?
髙石:役というのもそうですけど、私が人として魅力的だなって感じるのが、何か、欠けていたり、不器用っていうのも、もちろんそうですけど、自分自身が、完璧を求めちゃう人というか、なのに不器用な人を見ると、こういう人ってやっぱりいいなって思えるというか、だからそういう役で、自分もそういう人を体験してみたいというのはあるかもしれないですね。

 

【最優秀新進女優賞】
山田杏奈 (『山女』)

山田杏奈 ©Tokyo Now

山田杏奈は『山女』において、逆境に屈せず託ましく凛とあり続けた姿とその強い眼差しが観客の心を揺さぶったことが高く評価されました。

山田:この度は素敵な賞をいただき本当にありがとうございます。そして監督の福永さんともこの場に同じ日に立ててすごく嬉しいです。『山女』という作品は私にとってほとんど初の時代劇であったり凛(りん)という役柄もすごく過酷な状況に置かれていたので日々戦いながらの撮影でしたが、それがこのような形で皆さんのもとに届いているということを実感できて本当に嬉しく思います。

司会:『山女』は18世紀後半の東北が舞台となっているということで初めての時代劇だったそうですが、どんなところが難しかったんでしょうか。
山田:やっぱりいろいろな所作であったりとか、あと今回は方言がかなりあったのでそういったところでもセリフをどういうふうに表現していくかというのをかなり考えながら撮影していました。

司会:今回の作品はベテランの俳優さんに囲まれるような作品でしたが、現場でのエピソードなどがあればお聞かせください。
山田:皆さん本当に私以外はかなり男性陣がほとんどの現場でしたけど、映画の内容とは反対に皆さんすごく気さくに話しかけてくださったりとか、かなりそういう意味でリラックスした気持ちで先輩たちと一緒にお芝屋させてもらいました。

司会:好きなシーンで何か記憶に残るところございますか。
山田:私は、凛が山の中で自分の髪を解いているシーンがあるんですけど、そこが彼女が村にいた時と山にいる時の心境の差が現れているような気もしてとても好きなシーンです。

山田杏奈 & 福永壮志監督 ©Tokyo Now
(左から)福永壮志監督、山田杏奈

(『山女』福永壮志監督が再び壇上中央に呼ばれて)
司会:作品を観終わった時に主人公の凛は山田さん以外考えられないほど見事にハマっていたという意見がとても多かったんですけど、実際にこのキャスティングのエピソードを監督の方から教えていただけますでしょうか。
福永監督:杏奈さんがおっしゃっていたようにとても大変な境遇を乗り越えなくてはいけない役なので、杏奈さんご自身が持ってらっしゃる気丈な強さや芯の強さみたいなものが役にこなれて観客を引っ張っていてくれるんじゃないかというふうに思ってキャスティングを決めました。

司会:山田さんは役が決まった時はどんな最初の心境だったんでしょうか。
山田:最初に台本を読ませていただいた時は、今の時代にこういった作品を作ることがすごく面白いなって思いました。その中でもすごく大切なパートを担っている役を私にと聞いてすごく嬉しかったですし、気が引き締まる思いでもありました。

司会:村の中での生活と山に入ってからの生活で凛が纏う雰囲気や表情が別人のように違いました。監督はどのようなことに気を使って演出されていたですか。逆に山田さんは役づくりの工夫についてどんなところを気を使っていたのでしょうか。
福永監督:とにかく方言をしっかり練習してもらって、あとわらじを編むシーンがあったので、そちらもしっかり練習していただきました。あとは役者さんもキャスティングの時点ですごく信頼をいてお願いしているのであまり細かいことは言わずにあとは現場で一緒に作っていったという感じです。
山田:確かにわらじを編むところとかは家に藁を持って帰って掃除が大変になりながら練習をしました。そういった染み付いているところをなるべく作っていこうと思ってやっていたので現場に入ってからは本当に自然の中でどうなるかという部分も本当に大きかった気がするので監督とその都度、話しながらやらせてもらえたかなと思います。

司会:今後の抱負、映画のご予定などございましたらお願いします。
山田:今回のように私にやってほしいって言っていただけるような役と出会えることって本当にすごく嬉しいことなのでそういう役者でいられるように精一杯努力していきたいと思っております。『ゴールデンカムイ』という映画が2024年1月に公開になるので、そちらも是非、みんなで魂を込めて作ったものなので、ご覧いただけたら嬉しいです。

 

【最優秀新進男優賞】
奥平大兼 (『君は放課後インソムニア』『ヴィレッジ』『あつい胸さわぎ』『映画 ネメシス 黄金螺旋の謎』)

奥平大兼 ©Tokyo Now

奥平大兼は、役柄を的確にとらえる優れたバランス感覚と素直な表現力を持ち合わせ、映画の未来を担っていくことを予感させてくれることが受賞理由となりました。

奥平:このような栄誉ある賞をいただけて本当に感謝の気持ちでいっぱいです。この映画を制作するにあたって、携わってくれた監督や演者の皆様やこの映画を撮影させていただいた石川県七尾市の方々と原作のオジロマコト先生に本当に感謝の気持ちを表したいと思います。

司会:どんな物語にも溶け込んでいる印象がありますが、『君は放課後インソムニア』の中見丸太(なかみ がんた)の普通さがとても魅力的でした。何か意識されたことというのはあるんでしょうか。
奥平:『君は放課後インソムニア』という原作があるというものを僕は映画を撮影する前は知らなくて、実写映画を撮影することになり原作を読ませていただいたとき、本当に漫画の中で出ている雰囲気がとても素晴らしい作品だなという印象を受けました。その雰囲気を是非実写で出せればいいなということを意識していたんです。ダブル主演の森七菜さんがとてもナチュラルなお芝居をしてくれたおかげで僕もナチュラルにお芝居することができたので、そういう雰囲気が出せたのかなと思います。

司会: 七尾市というところでずっと撮影されていたということなんですが、何か現地での 思い出とかはあるんでしょうか。
奥平:原作で描かれている町並みと実際の七尾市の町並みがそのままで、本当に綺麗な場所だなという印象を受けました。予告の冒頭で僕が海をバックにして喋るシーンがあるんですけど、自然の力がそのまま画に現れていたのかなというのを一番最初に映画を見た時に感じて、それらは七尾市の力でありますし、あと撮影を七尾市全体で協力していただき、学校や商店街などを貸していただきました。難しいところとかもあったと思うんですけど、七尾市の方々に愛されているんだなっていうのは実感しました。

司会:今後取り組みたい役柄として自分と似ていない性格の役をやってみたいと回答されておりますが、ご自身はそもそもどのような性格だと思われますか。
奥平:自分自身がどういう性格かというのが正直まだわかっていないんですけど、いろんな役をやっていくにつれて、その役の性格がちょっとずつわかっていくので、それらがだんだん積み重なって自分の性格になっているのかなっていうのは最近ちょっと思うようになりました。まだ自分自身のことが分かりきれてないんですけど、自分が感じたことがないことであったりちょっと難しいような役にチャレンジしてみるというのもすごい面白いかなと思ってそう思いました。

司会:この1年間で出演された作品の中で一番自分に近いと思った役はございますか。
奥平:少し前に『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』というドラマに出演させていただいてまして、そこの星崎くんという役を演じたんですけど、その子が一番僕の中では今僕の考え方であったりとか性格と近い子なのかなって思っていて、そのおかげで実際にお芝居している最中も自分のことを語ってるかのような感覚になって、本当にお芝居している感覚がいい意味でないというかそういう気持ちになってすごい特殊な経験をさせていただいたと思います。

司会:今後の豊富、映画のご予定などございましたらお願い致します。
奥平:今回こういう賞をいただけて、自分が若い世代の役者の一人として、だんだん学生の役であったり若い気持ちを表現するような役というものがずっとできるわけじゃないんだなというのを実感してました。まだまだ若い世代なので大丈夫だろうとは思うんですけど、今しかできないお芝居というものを本当に大切にするべきなんだなというのを思うようになりました。これからの作品も自分の若い力を借りて表現していきたいですし、映画を通してお芝居を通して見ていただく方々に何かを伝えるということの楽しさであったりとか、やりがいをすごい感じることが多くて、それを来年以降も引き続き皆様に何かを伝えるような役者になれればなと思います。

 

【最優秀新進男優賞】
目黒蓮 (『わたしの幸せな結婚』『月の満ち欠け』)

目黒蓮 ©Tokyo Now

目黒蓮は、『わたしの幸せな結婚』においてキレのあるアクションと華のある演技で見るものを虜にし、異性への想いの移ろいを繊細な感情表現で演じたことが高く評価されました。

目黒:本日は、このような名誉ある賞をいただけて本当に光栄に思いますし、撮影が終わった後もこうして賞をいただけるとやっぱり作品というものが生き続けてくれているんだなというのを実感することができて、とてもありがたく思います。

司会:塚原あゆ子監督の『わたしの幸せな結婚』との出会いが自分の人生を変えるほど大きなものだったとパンフレットのコメントにお寄せいただきましたが、塚原監督とのやりとりで今も心に残っていることは何かございますか。
目黒:リアルを大切にしてほしいということをすごく言っていただいて、塚原監督は、お芝屋をするというよりも「こういうことを言われたらこういう反応になるよね」とか「こういう表情になるよね」とか本当に現実を大切にされている方なので、お芝居経験がまだ少ない時期に僕は塚原さんと出会うことができて本当に幸運だなと思いますし、『わたしの幸せな結婚』を撮影した後の作品でもすごく塚原さんに教えていただいたことは生きてきたなと本当に感謝しています。

司会:斎森美世(さいもり みよ)役の今田美桜さんとの共演シーンで何か印象に残っている場面というのはございますか。
目黒:今田さんが今までやって来られていた役だったりとか、印象としてすごく華やかな方なのかなというイメージがあったので、初めて対峙してお芝居をした時にこの美世というキャラクターの悲壮感といいますかそういう部分がすごい表現されていて、僕自身すごくやりやすかったですし、僕も役に没頭することができたなと思います。感謝しています。

司会:アクションシーンが本当に素晴らしく観客を魅了したわけですが、これらが俳優活動と歌や踊りの活動でお互いに何か活かされていたのでしょうか。
目黒:ダンスや歌の振り付けを覚えるというとこのアクションというのは結びついてはいけないものと言いますか、これは塚原さんにも教えていただいたことでもあるんですけど、アクションが振り付けっぽくならないようにきれいにやらないでほしいということを言っていただいて、なのでイメージ的には崩していくような感覚でアクションをやらしてもらってました。逆に普段Snow Manとしている時の歌、ダンス、パフォーマンスの表現力というのはお芝居をたくさん経験させてもらううちにパフォーマンスの方の表現の幅が逆に増えたのかなと思います。

司会:自分の中でちゃんと飲み込んで役を演じられている、そして歌やダンスの方にも活動しっかりされているというところでは、切り分けみたいなところがしっかりと自分の中ではできているということでしょうか。
目黒:Snow Manでいる時はなるべく目黒連というものをどれだけ足していくかという感じなんです。役を演じさせていただく時はどれだけ自分を引いていくか、足し算と引き算で全然違うことをやっている感覚なんですけど、どちらもちゃんと済み分けられていて楽しくやらせてもらっています。

司会:今後もたくさんのオファーやってくるかと思いますが、映画のご予定などございましたらお願いいたします。
目黒:前から常に思っていることではあるんですけど、自分というのは作品のためにあって作品を通して何か思いを伝えたい、その思いというのが一人でも多くの方に作品を通して届けばいいなと思いますし、自分が演じるに当たって観てくださった方の人生・生活に何らかの影響を与えられるようなお芝居ができたらいいなと思います。そして今後の予定はありがたいことにいくつかお話をいただいているんですけど、誰かが、誰かがじゃなくて、自分がやるべきだと思えるような作品。そして自分の心も動く作品に出演させていただいて、皆様にお届けできればいいなと思っております。

 


第15回TAMA映画賞
( https://www.tamaeiga.org/2023/award/ )

最優秀作品賞[本年度最も活力溢れる作品の監督及びスタッフ・キャストに対し表彰]

  • 『怪物』 (是枝裕和監督及びスタッフ・キャスト一同)
  • 『雑魚どもよ、大志を抱け!』 (足立紳監督及びスタッフ・キャスト一同)

特別賞[映画ファンを魅了した事象に対し表彰]

  • 宮﨑駿監督及びスタッフ・キャスト一同 (『君たちはどう生きるか』)
  • 上田誠、山口淳太監督はじめヨーロッパ企画及びスタッフ・キャスト一同(『リバー、流れないでよ』)

最優秀男優賞[本年度最も心に残った男優を表彰]

  • 佐藤浩市 (『春に散る』『せかいのおきく』『仕掛人・藤枝梅安2』『大名倒産』『キングダム 運命の炎』『ファミリア』『映画 ネメシス 黄金螺旋の謎』)
  • 鈴木亮平 (『エゴイスト』『劇場版「TOKYO MER~走る緊急救命室~」』)

最優秀女優賞[本年度最も心に残った女優を表彰]

  • 菊地凛子 (『658km、陽子の旅』)
  • 黒木華 (『せかいのおきく』『ヴィレッジ』『映画 イチケイのカラス』『ほつれる』)

最優秀新進監督賞[本年度最も飛躍した監督、もしくは顕著な活躍をした新人監督を表彰]

  • 福永壮志 (『山女』)
  • 金子由里奈 (『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』)

最優秀新進男優賞[本年度最も飛躍した男優、もしくは顕著な活躍をした新人男優を表彰]

  • 目黒蓮 (『わたしの幸せな結婚』『月の満ち欠け』)
  • 奥平大兼 (『君は放課後インソムニア』『ヴィレッジ』『あつい胸さわぎ』『映画 ネメシス 黄金螺旋の謎』)

最優秀新進女優賞[本年度最も飛躍した女優、もしくは顕著な活躍をした新人女優を表彰]

  • 山田杏奈 (『山女』)
  • 髙石あかり(『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』『Single8』『セフレの品格 決意』『わたしの幸せな結婚』ほか)

TAMA映画賞

明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる<いきのいい>作品・監督・俳優を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰します。

選考対象
2022年10月から2023年9月に一般劇場で公開された作品及び監督・キャスト・スタッフ

選考方法
TAMA映画フォーラム実行委員(市民ボランティア)の合議により選考