dunhill SS19 Runway Show

緻密さと大胆さ、機能性とエレガンスといった相対する要素を、英国のファッションカルチャーとマーク・ウェストンのフィルターを通し、ひとつのメンズファッションの完成形として作り上げられたダンヒルのSS19コレクション。クリエイションはフォーマルとカジュアルを行き交い、コンテンポラリーな姿へと昇華された。

「私は伝統的な紳士服の概念をなんとかして壊したかった。エレガンスと挑発、そしてある種の不遜さが共存している英国ファッションがもつ理想的概念への一種の問題提起だ。今回のコレクションで、気負わずイージーな、しかし計算されたクラシックなシルエットバランスを追求することでそれを示そうとした。イヴニングシルクを工業用ファブリックのように扱うといった生地や素材の相対的コントラスト、そしてあらゆる時代の堆積が今回のテーマだ」―クリエイティブ ディレクター、マーク・ウェストン

dunhillの2019春夏コレクションには、英国のファッション文化が本質的にもつ“相対する要素のコントラスト” が感じてとれる。緻密さと破壊的志向、実用性とエレガンス、両方の感覚を併せもつマークは、典型的なマスキュリンの規範を再構築することで、格式張った伝統とそれにとらわれないカジュアルさとの自由な融合を図っている。

今回のコレクションでは、文化的、階級的境界を超え、英国ファッションのイデオロギーにある種の皮肉をこめた賛美をおくる。80年代に代表されるパワードレッシングと現代的なスポーツウェア、相対する両概念が現代的に融合している。ゆったりとリラックスしたシルエットのテーラリングが伝統的なダブルブレストジャケットに取って代わり、パワードレッシングにしなやかなエレガンスの息吹を吹き込んでいる。スプリット ヘム トラウザーズは、80年代のカジュアルな装いを感じさせる。90年代後半に多くみられたロゴ使いも復活し、70年代のキャンバスバッグに着想を得てdunhill ロゴを大胆にあしらった。フォーマルなイヴニング ウェアに多用されるモアレ シルクは、工業用ファブリックがごとく実用的に姿を変えた。

相対する要素は、現代に即したものに昇華された。エグゼクティブな装いとレイブカルチャーが共存するマーブルプリント、実用的にデザインされたラグジュアリーなレザー、またモッズに愛され今日に至るまで伝統的な紳士服の真髄を成しているエレガントなモヘア。ここではポップさと荘厳さがいとも簡単に隣り合い、タイムレスな遊び心に満ちた洗練の英国ファッションが称えられている。

Tokyo Now Author